「ドバイシーマクラシック・UAE・G1」(25日、メイダン)
過去最多となる26頭が参戦(ターフの
ドウデュースは出走取消)した今回。UAEダービーを
デルマソトガケが制すと、シーマクラシックは逃げの手に出た
イクイノックスが圧巻のレコードV。ラストのワールドCは
ウシュバテソーロが豪脚で頂点をつかみ取った。日本勢6戦3勝。“サムライ”たちの強さを改めてドバイの地に刻み込んだ一日となった。
これまで自慢の末脚でラ
イバルをねじ伏せてきた切れ者が、敢然とハナに立つシーンを誰が想像したか。しかし、どんな
スタイルでも強さを見せつけるのが年度代表馬の責務というものだ。日本の大将格として出陣した
イクイノックスが、横綱相撲で海外G1初制覇。驚がくのレコードVで圧倒的1番人気に応えた。
押し出されるように前へ出ると、そのままマイペースへ。直線に向いても余力はたっぷりとあった。追わずとも後続は離される一方。まさにあきれるほどの強さだ。後ろを何度も振り返ったルメールは、勝利を確信するとゴール前にもかかわらず相棒の頭をなで、さらに
ガッツポーズをする余裕を見せた。「自分の馬が“一番強い”と思ってもらえるような競馬をしたかったので。逃げることができて良かったです」。引き揚げると馬上で“
ペッパーミル・パフォーマンス”を披露。喜びを爆発させた。
父
キタサンブラック譲りの先行力で手にした勲章。鞍上にとっては06年ハーツクライ以来のタイトルだ。「残念ながら彼は2週間前に亡くなってしまったけど、勝って彼を追悼することができた」。思えば、ハーツクライも意表を突く逃げでV。偉大な両馬に背中を押され、圧巻の逃走劇は完遂された。
気になるのは今後の動向だ。今回の勝利を受け、主要ブックメーカーは凱旋門賞1番人気に上方修正した。木村師は「オーナーとの相談になりますが、個人的にはアメリカに行きたいし、ヨーロッパも行きたいけど、まずはしっかりオーバーホールしたい」と話すにとどめたが、次なる
ターゲットは果たして-。世界中が、その行方を注視している。