「高松宮記念・G1」(26日、中京)
今年も春の嵐が吹き荒れた。桶狭間の電撃戦を制したのは12番人気の伏兵
ファストフォース。好位から力強く末脚を伸ばしてラ
イバルを退けた。デビュー5年目の団大成騎手(22)=栗東・斉藤崇、管理する西村真幸調教師(47)=栗東=ともに、うれしいG1初制覇となった。2着は2番人気の
ナムラクレア、3着には13番人気
トゥラヴェスーラが入り、1番人気の
メイケイエールは12着に沈んだ。
降り続く雨を切り裂いて、頂点へと駆け上がった。12番人気の7歳馬
ファストフォースが不良馬場をモノともせず、2着に1馬身差をつけて快勝。見事にエスコートした団野、そして管理する西村師とそろってG1初制覇。検量室前では両者とも目を赤らめながら
グータッチをかわした。
直線で他馬の進路を妨害したこともあり、「手放しには喜べない反省点の多いレース」と冷静に自身の騎乗を見つめ直した団野。それでも、「すごくうれしい。内が伸びない馬場だったので枠もちょうど良く、4コーナーもいい形になって追いだした時の反応も良かった。力強いレースをしてくれました」と相棒の頑張りをたたえつつ、喜びを表現した。
「この馬の競馬をするためには、前に行くことが大前提」。スタートから促し、荒れた内側を避けて中団前めをキープ。しっかりと手応えを残した状態で勝負の直線を迎えると、ギリギリ芝が荒れていない絶妙なラインへと誘導する。おかげで相棒の末脚は最後まで鈍ることなく、後続をシャットアウト。鞍上の好判断が光った。
21年CBC賞(小倉)では、当時の芝千二の日本レコードとなる1分6秒0をマークした快速馬。だが、この日は自身の持ちタイムより5秒以上遅い1分11秒5での戴冠。問答無用のス
プリンターへと進化を遂げた。西村師も「馬は今までで一番いいと感じました。左回りは相性が良かったし、重馬場でも結果が出ているのでチャンスがあると思っていました。G1は目標だったので、うれしい」と笑顔で喜んだ。
次走は未定だが、桶狭間決戦での勝利は天下統一へののろし。父
ロードカナロア×母父サクラバクシンオー。名快速馬の血を受け継ぐベテランス
プリンターの活躍は、これからが本番だ。