ネオユニヴァースでダービーを制し、ガッツポーズするM・デムーロ=2003年6月1日
「日本ダービー・G1」(28日、東京)
第90回を迎える23年の日本ダービー。これまでの節目ではセン
トライト(第10回)、タケホープ(第40回)など、当時の競馬界を代表する名馬が世代の頂点に立っていた。当連載では過去の節目の祭典を制した優駿をフォーカスする。3回目は第70回(06年)の勝ち馬ネオユニヴァース。
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03年第70回。日本競馬史を大きく変える新たな1ページが加わった。優勝馬ネオユニヴァース。手綱を取ったM・デムーロは、外国人として初の日本ダービージョッキーとなった。
初コンビのス
プリングSで快勝を飾ると、続く皐月賞ではゴールまでもつれたサクラプレジデントとの死闘をわずかに制して1冠目を奪取。混戦ムードが予想されたダービーは好騎乗が光った。
前日の雨の影響で馬場は重。レースはいつもより後方のポジションを取り、内でじっくり脚をためた。4角では内の荒れた馬場を嫌った各馬が外を回す中、馬場の真ん中を選んで一気に先頭へ。抜き去られてなお盛り返すゼンノロブロイを尻目に、見事2冠を達成した。
着差は半馬身-。それでもゴール前で早々に
ガッツポーズを見せた鞍上の手応えには余裕があった。何度も雄たけびを上げて喜びを表すと、満員の客席からはミルココール。うれし涙がこみ上げた。「僕も若かったね。馬の状態は良かったし、馬場がすごく悪かったのも良かった。運が向いたし、全てがうまくいった」と当時を懐かしそうに振り返る。
特例措置を使って騎乗した菊花賞は3着に終わるも、偉大なその姿は今も鮮明なままだ。「ずっと大好きな馬だね。
ドゥラメンテとかもっと強い馬にも乗せてもらったけど、今までで一番印象に残っている」。自身の名を日本中に知らしめ、その後の活躍の礎となった存在だった。