◆第73回安田記念・G1(6月4日、東京競馬場・芝1600メートル)
蛯名正厩舎の芝G1初挑戦馬となる
レッドモンレーヴは、83年オークス馬の3代母ダイナカールから脈々と血が紡がれてきた。祖母エアグルーヴはG1・2勝を挙げ、母としても03、04年のエリザベス女王杯を連覇した
アドマイヤグルーヴ、12年香港クイーンエリザベス2世Cを勝った
ルーラーシップと2頭のG1馬を産んだ。重賞ウィナーも複数送り出し、繁殖牝馬としても極めて優秀だ。
その10番子が
ラストグルーヴ。11年のセレクトセールで3億6000万円という当時の1歳馬の史上最高額で取り引きされ、大きな期待を集めたものの、わずか1戦1勝で繁殖入りとなった。その5番子が
レッドモンレーヴ。偉大な血を受け継ぐ母だが、本馬の京王杯ス
プリングC制覇が、意外にも産駒の重賞初Vだった。
蛯名正調教師は「難しさがある血統。きょうだいも難しいところがあって、うまくいっていない感じがあった」と振り返る。きょうだいの重賞は自身も手がけた半兄
ランフォザローゼスと藤沢和雄元調教師が管理した半姉
レッドルレーヴの2着が最高。
レッドモンレーヴも気性面に激しいものを抱えていた。藤沢氏から受け継いだ本馬をしっかりと手の内に入れ、重賞ウィナーへと成長させた。
くしくも京王杯SCは藤沢氏がタイキシャトルや
スティンガー、
タワーオブロンドンなどで8勝を挙げた相性抜群のレースだった。蛯名正師は「ダービー卿CT(7着)を勝っていたら(賞金の関係で)出られなかったかもしれない。京王杯SCを勝って出られるようになったのは何か縁があるのかもね」。藤沢和厩舎が最後の勝利を飾った縁のある
レッドモンレーヴと、人馬G1初Vへ打って出る。(石行 佑介)