12年の共同通信杯を制したゴールドシップ(12年2月撮影、ユーザー提供:タツさんさん)
近年の共同通信杯は、皐月賞の最重要前哨戦という位置づけになっている。その先駆けとなったのは12年のゴールドシップ。後にGIを6勝する「白い怪物」の3歳春の2戦を振り返る。
ゴールドシップは父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母の父メジロマックイーンの血統。2歳夏のデビューから新馬、コスモス賞と連勝を決める。しかし、その後は札幌2歳Sでグランデッツァ、ラジオNIKKEI杯2歳Sでアダムスピークに屈し、ともに2着に敗退。そして迎えた3歳初戦が共同通信杯だった。初コンビの内田博幸騎手に鼓舞されて好位をとると、逃げる1番人気のディープブリランテをマークするように手応え良く運ぶ。迎えた直線、ジワジワと加速すると、残り100mで一気にかわして先頭へ。最後は1馬身3/4の差をつけて、待望の重賞初制覇を果たしたのだった。
その後はリフレッシュを挟み、皐月賞に直行した。人気こそグランデッツァ、ワールドエース、ディープブリランテに続く4番手だったが、レース史に残る衝撃の走りを見せることとなる。道中は最後方追走。向正面では厳しい位置取りに思えたが、内田騎手は3角から「イン捲り」を選択する。これが大正解でグングンとポジションを上げると、直線に向いたところでは早くも3番手。そこからも勢いは衰えることなく、残り200mで先頭に立つと、後続を寄せ付けずに2馬身半差の完勝。自身はもちろん、須貝尚介調教師にとっても初のGIタイトル獲得を果たしたのだった。
ゴールドシップを含め、共同通信杯を制してから皐月賞に直行し、連勝を果たした馬は5頭いる。順に14年のイスラボニータ、16年のディーマジェスティ、21年のエフフォーリア、そして昨年のジャスティンミラノである。今年、この「系譜」を受け継ぐ馬は出てくるのか。今年のクラシック戦線を占う意味でも、共同通信杯は気になる一戦となりそうだ。