「東京湾カップ・S2」(8日、船橋)
人馬そろって、うれしい重賞初制覇だ。徐々に前へと進出した3番人気の
ケンシレインボーが、ゴール前でグイッとひと伸び。待望のタイトルに手が届き、「第71回東京ダービー・Jpn1」(6月11日・大井)への優先出走権もゲットした。2着に5番人気の
プレミアムハンド、3着に逃げた6番人気の
エスカティアが入った。なお、1番人気の
ジュンハーベストは直線を向いて競走を中止した。
激しい先行争い。その速い流れをジッとインで脚をためた
ケンシレインボー。直線を向いて逃げた
エスカティアの真後ろから外へ出すと、鞍上の右ステッキに応えて430キロ台の小柄な馬体がはじけるようにグイグイと迫って行く。これをラスト150メートル過ぎてかわすと、最後は猛追してきた
プレミアムハンドを1馬身半差で封じた。
これまで重賞挑戦すること4回。あと一歩届かなかった。「状態は万全でした。流れもこの馬に一番有利だと思っていたし、直線は一生懸命追いました」と喜ぶ山中悠にとっても、デビュー14年目のうれしい重賞初Vとなった。「時間はすごくかかったけど、いつも応援してくれているユウタ厩舎の馬で勝てて、すごくうれしいです」と、初めてのお立ち台で喜びをかみしめた。
出迎えた佐藤裕師の瞳からは涙がこぼれる。「一つの目標でした。夢がかないました」と言葉を詰まらせる。「自分が(騎手時代に)重賞を勝てなかった分、若い頑張っている子に勝たせてあげたかった。“楽しんで来い”と送り出しました。きょうはいつも以上にうれしいです。直線は“
ユウキ、
ユウキ!”って、10回くらい叫んじゃいました」と恥ずかしがる。
このあとは権利を取った東京ダービーへ。「距離が延びるのはいいし、きゃしゃだけど自在性と勝負根性のある馬。もちろん、山中で」と最後はようやく笑顔がのぞいた。