武豊とノースヒルズの"絆"これまでも、これからも続いていく 大山ヒルズでキズナ像除幕式

2025年05月13日 06:00

 キズナ像の前で記念撮影に収まる左から前田幸治会長、前田晋二氏、佐々木師、武豊

 ギャンブルとして競馬に興味を持ち始めた記者だが、知れば知るほど馬の数だけ…いや、馬の数以上にストーリーがあり、それも魅力の一つだと気づく。これはきっと、ゲームなどから入ったファンも同じことだろう。シャマル×川須騎手などこのコラムでも何度か書かせてもらってきたが、日本競馬を代表する“絆”物語といえば武豊騎手(56)=栗東・フリー=とノースヒルズだろう。

 12日、鳥取県伯耆町の大山ヒルズでキズナの銅像の除幕式が行われ、主戦だった武豊騎手も参列した。キズナは13年にダービーを制覇。その後は海外にも果敢に挑戦し、現役を引退してからは種牡馬として活躍。昨年デビューした産駒6世代目で2歳リーディングに輝くと、総合リーディングも獲得。日本の競馬シーンの主役として君臨し続けている。

 武豊騎手が初めてまたがったのは、12年12月のラジオNIKKEI杯2歳S(3着)。デビュー以来、常に最前線を走り続けていたスタージョッキーだったが、10年毎日杯(ザタイキ)での落馬事故により大ケガを負い、復帰後も思うような成績を残せないでいた。そこでホワイトナイトのように手を差し伸べたのがノースヒルズの前田幸治代表だった。

 「個人的にキツい時期でした。すごく苦しんでいる時にキズナに乗せていただいて、ダービーを勝てて…。『よし、もう一度頑張ろう』と思える馬。ジョッキー人生においても大きな存在に巡り合えました」

 日本が誇るレジェンドを再起させたのが、他でもないキズナ。そして、トップブリーダー、オーナーとして日本競馬界を引っ張るノースヒルズも、これが分水嶺だったのか、翌年にワンアンドオンリー、20年にコントレイルと次々にダービーを制した。前田幸治代表は「牧場を始めて41年。4〜5年やればダービー馬が出ると思ったら時間がかかりましたね」と笑い、「ダービーを獲れたことが人生で一番の感激でした。ダービーを一度獲ったら癖になるもんで、来年こそまた獲りたい。キズナコントレイルの子で争ってほしいです」と、ノースヒルズが誇る血脈が日本競馬界を席巻するシーンを期待している。

 この日、武豊騎手は大山ヒルズに在厩している2頭の2歳馬の調教にも騎乗。思い出のキズナを父に持つマイバレンタイン(牡、母キトゥンズクイーン、栗東・池江)は「素質がありそうですね。まだ非力ですが馬っぷりが良かったです」と評価。来週の入厩を予定している。また、コントレイル産駒のクールマイユール(牡、母ステラスター、栗東・福永)は「まだ非力だなという感じですが、手脚の軽さは感じました」と芝向きのフットワークを感じ取っていた。こちらは自身が手綱を取り、6月8日の東京6R(芝1400メートル)でデビュー予定。無限の可能性に、夢は広がるばかりだ。固く結ばれた絆は、これからも続いていく。(デイリースポーツ・山本裕貴)

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