金子真人オーナー(現在の名義は「金子真人ホールディングス(株)」)は90年台後半から四半世紀以上に渡り、数多くの名馬を所有してきた。所有馬同士の配合からも
ソダシや
ワグネリアンなど多くのGI馬を送り出し、その馬主人生は「リ
アルダビスタ」とも称されるが、今回はあえてセレクトセールで落札した活躍馬を紹介したい。
1頭目は何といってもディープインパクトだ。02年のセレクトセール当歳で7000万円(税別。以下同)。金子オーナーという枠を飛び越え、日本競馬を代表する名馬だ。05年に牡馬三冠を制し、06年には天皇賞(春)、宝塚記念、
ジャパンC、有馬記念を勝利。種牡馬としても大成功を収め、既に孫や曾孫の代が活躍している。自身が3位入線→失格と涙を飲んだ凱旋門賞は、その血を継ぐ馬がいつか勝ち取ってくれるだろう。
ディープインパクトの1歳上で、金子オーナーに「日本ダービー馬のオーナー」という栄誉を届けたのはキングカメハメハだ。01年セレクトセール当歳で7800万円。04年にいわゆる「マツクニローテ」でNHKマイルC→日本ダービーを連勝。ただ、秋初戦の神戸新聞杯を制した後、屈腱炎を発症して引退したため、実質的な現役生活は1年に満たなかった。種牡馬としては
ドゥラメンテや
ロードカナロア、
アパパネや
ホッコータルマエなど、あらゆるカテゴリーで大物を輩出。ディープインパクト以上の汎用性を見せている。
そしてダートで一時代を築き、同期の日本ダービー馬になぞらえて、「砂のディープインパクト」と呼ばれたのが
カネヒキリだ。02年セレクトセール当歳で2000万円。屈腱炎による2回の長期休養を克服し、05年と08年のジャパンCダートなど、GIとJpnIを計7勝。武豊騎手とC.ルメール騎手の両者でGIを制した最初の馬となった(後に
ウオッカも達成)。
最後にもう1頭、
ポタジェも取り上げたい。18年セレクトセール1歳で1億9000万円。重賞では善戦キャラだったが、22年の大阪杯は8番人気で勝利。重賞初制覇をGIで成し遂げ、金子オーナーが1億円以上で落札した馬では最初のGI馬となったのだった。
【金子真人オーナーがセレクトセールで落札したJRA・GI馬】GI初制覇が早い順
・キングカメハメハ(01年セレクトセール当歳・7800万円)…04年NHKマイルC、日本ダービー
・ディープインパクト(02年のセレクトセール当歳・7000万円)…05年皐月賞、日本ダービー、菊花賞、06年天皇賞(春)、宝塚記念、
ジャパンC、有馬記念
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カネヒキリ(02年セレクトセール当歳・2000万円)…05年・08年ジャパンCダート、06年フェブラリーS
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ピンクカメオ(04年セレクトセール当歳・7100万円)…07年NHKマイルC
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ポタジェ(18年セレクトセール1歳・1億9000万円)…22年大阪杯
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カムニャック(23年セレクトセール1歳・7000万円)…25年オークス