キャリア2度のJpn制覇はいずれも
ピンチヒッターだったが、今回は違う。デビュー21年目。自らの腕でつかんだ初めての大舞台。本田正重騎手(37)=船橋=がWASJ(23、24日・札幌)に平常心で挑む。
「無欲の勝利かな。決まった時はうれしかった。でも、地方競馬代表になっちゃって、多少プレッシャーはありますね」と静かにほほ笑む。
地方競馬を背負って立つ一人。でも、欲がない。もどかしく思う時もあるが、それが本田正重という男だ。初めて年間100勝の壁を破った(111勝)17年を契機に頭角を現してきた。
地方代表によるWASJ制覇は地元の大先輩・石崎隆之(94年)を筆頭に、川原正一(97年、当時・笠松)、鮫島克也(01年、佐賀)、岩田康誠(05年、当時・兵庫)の4人。「レジェンドばかり。さすがに仲間入りはできないでしょう」と笑うが、「この秋は船橋でJBCが開催されます。盛り上げるためにも頑張りたい」と力を込める。
「1週間悩んだ」と話すJRAに問われた『セールスポイント』の欄には「感情の波がない」と答えた。「運がいい方」とも言う。JRA&世界の名手を相手にしても、はやる気持ちはない。いつも通り淡々と、気がついたら表彰台の真ん中にいる。それも本田正重だ。(デイリースポーツ・村上英明)