◆秋華賞追い切り(15日・栗東トレセン)
第30回秋華賞・G1(19日、京都)の追い切りが15日、東西トレセンで行われた。オークス馬
カムニャックは栗東・坂路を余力十分に疾走。春や前走時から格段にアップした動きの質を山本理貴記者が「見た」。
1週前に併せ馬で負荷をかけて動ける体をつくり、当週は単走で息を整えて仕上げる。友道厩舎のパターン通りの調整だが、栗東・坂路に現れた
カムニャックの重厚な馬体に思わず目を奪われた。
全くの馬なりで、リズム重視。しかし、全身を大きく使った躍動感たっぷりのフォームからはすさまじい迫力が伝わってきた。促される程度で、雨で重たくなった馬場をスイスイと加速し、53秒4―12秒3。「本当に気持ち良さそうに上がってきていた。具合はいいと思う」と友道調教師。数字以上にインパクトのある最終追い切りだった。
カムニャックの取材でよく耳にするのが「(体の)フレームが牝馬離れしている」という言葉。牡馬顔負けの太くどっしりとした骨格が、直線での強烈な瞬発力を生み出しているのだろう。12日朝の取材では、大江助手から興味深い話を聞いた。「筋肉の乗り、馬の形が大人びてきた。体がぐっと増えて、いい筋肉が乗ってきた」。重賞初制覇を飾ったフ
ローラSは470キロ、オークスは474キロ、ローズSは482キロと馬体重を増やしながらパフォーマンスを上げてきた。前走時の最終追い切りと比べても、四肢のあたりがボリュームアップ。その効果でかき込みの勢いが強くなっている印象を受けた。
「乗り手の感覚は遅いかなという感じだったが、予定通りの時計だった。今回の中間の動きの方が明らかにいい」とトレーナーからは確かな手応えは伝わる。もともと叩いて良くなるタイプだが、前走から確実に成長もしている。2冠制覇へ、さらに走りの質を高めてきた樫の女王はデビュー以来、最高の仕上がりだ。(山本 理貴)