◆第30回秋華賞・G1(10月19日、京都・芝2000メートル)
自身で勝ち取った切符を手に初のG1に挑む。4年目の西塚は紫苑Sで重賞初制覇。手綱を執った
ケリフレッドアスクは“師匠”である藤原調教師の管理馬だ。「チャンスをいただけたことも光栄ですし、期待に応えないといけない」。この日は栗東の坂路で軽快に55秒3―12秒4。手綱越しに手応えを深めた。
初年度は美浦の鹿戸厩舎に所属したが、2年目からは栗東へ。フリーながら藤原厩舎を中心に活動する。「ただ、美浦もすごくいい場所なので、美浦に育ててもらったことも感謝しています」。スプリンターズSでJRA・G1初制覇した“兄弟子”の三浦に祝福のコメントを送り、「お互い頑張ろうな」と励ましを受けた。
藤原調教師は角馬場でのフラットワークなど馬術を取り入れ、競馬界に変革をもたらした。実家が乗馬クラブの西塚は幼い頃から馬に乗り、18年の福井国体を馬術(少年標準障害飛越)で制覇。ともに馬術がベースだ。「アスリートとして人としても技術面、精神面の両方を教えていただいています」。10歳まで海外育ちで日本と海外の文化の違いに苦しんだ時期もあったが、上下関係やあいさつなど、人としての礼儀をしっかりと学んだ。
藤原師が大切にするのは日々の継続だ。その教えを守り、日々のトレーニングで筋力を強化することで、馬への操作性はグンと増した。
ケリフレッドアスクを初の逃げへ導き、勝利につなげた前走が何よりの成長の証しだ。「お互いに成長して馬も僕から、僕も馬からいろいろ経験、勉強をして引き出しが増えました」。感謝を手綱に乗せ、大舞台で師匠に恩返しする。(松ケ下 純平)
◆西塚 洸二(にしづか・こうじ)2004年3月9日、米・
ネバダ州生まれ。21歳。10歳までニュージーランドで育つ。22年3月にデビュー。同4月2日の中山で初勝利。JRA通算1421戦89勝。実家のファナウステーブル(山梨県北杜市)は引退競走馬もけい養。160センチ、47キロ。同期には佐々木、今村、鷲頭、川端らがいる。