◆第14回アルテミスS・G3(10月25日、東京競馬場・芝1600メートル)
白毛の
アイドルホース候補
マルガ(牝2歳、栗東・須貝尚介厩舎、父
モーリス)が無傷の2連勝を懸けて、出世レースのアルテミスSに出走する。22日は同レースに向けた最終追い切りを実施。全兄との白毛馬2頭による華麗な競演を、競馬記者歴20年の
ヤマタケ(山本武志記者)がコラム「見た」で振り返る。
久々に貴重な「競演」を見た。競馬記者歴20年近くになるが、白毛2頭の併せ馬を取材するのは2度目(※1)だ。栗東・坂路で
マルガは全兄
カルパ(4歳2勝クラス)の真後ろにピタッとつけると、ラスト1ハロン手前で横に出た瞬間に加速する。瞬時の素早い反応はためが利いていた証し。55秒2―12秒5で2馬身先着した。
追い切り前。須貝調教師は「ちょっとお勉強させる感じで」と説明した。7月のデビュー戦は押し出された感じでハナを切ってのレコードV。上がり最速タイの脚を繰り出してはいるが、実際に前に馬を置いた経験はない。だからこそ、この日は我慢を覚えさせた。「お兄ちゃんがうまく誘導してくれた。折り合いもついていたし、思い描いた通りの内容」。白い馬体が重なる間もなく、抜き去っていく姿にホッとした。
須貝師が姉の
ソダシと同じく、日頃から気にかけるのが気性面だ。だからこそ、コースで負荷をかけることの多い1週前追い切りも坂路で気分よく走らせた。その後に須貝師が漏らしたのが「あとは東京への輸送がどうかだろうね」という言葉だ。しかし、同日の東京12Rに
カルパも出走を予定。兄と一緒に、初の東京遠征へ行くことはプラスになるはずだ。
レース直前に兄妹で併せ馬を行ったことも、兄をより身近な存在に感じさせたい意図があったのではないか。「馬房もお兄ちゃんと一緒(近く)だし、安心できるんじゃないの」とほほ笑むトレーナー。あとは名手・武豊騎手の手綱さばきに託すだけ。万全のケアを施し、新たな白毛伝説を紡いでいく。(山本 武志)
※1 2008年5月7日に栗東・安田隆行厩舎(当時)の
ホワイトベッセルと、友道厩舎の
マダムブランシェが栗東・坂路で他厩舎ながら併せ馬を行い、話題を集めた。
ホワイトベッセルは
マルガの伯父で、JRAで白毛馬初勝利を挙げたことでも知られる。