今年のエリザベス女王杯・G1(11月16日、京都競馬場・芝2200メートル)は、どんなドラマが生まれるのか。過去の名勝負、05年2着の
オースミハルカと1着
スイープトウショウの激戦を振り返る。
オースミハルカはエリザベス女王杯で2年連続2着で、女王の座に惜しくも届かず。2004年は武豊騎手とコンビの
アドマイヤグルーヴにゴール前でかわされ、05年は
スイープトウショウ(池添謙一騎手)の鬼脚に屈した。
3年連続のエリザベス女王杯挑戦となった05年。5歳になった
オースミハルカに騎乗した主戦・川島信二騎手は、観衆がどよめくほどの大逃げを打つ。川島さんは「この時期のはるちゃんは、調教をこなすことが難しくなってきまして。自分から向かっていってくれない。止まってしまうのを、帯同馬をつけて佐藤淳調教助手がサポートしながら、ずっと進めていった」。「牝馬で、嫌気がさしてくるという状況のなか、最終調整が本当にうまくいったので、あとは自分は馬を信じて、自信をもって乗るだけだった」と振り返る。
果敢にハナに立った
オースミハルカは、後続をどんどん突き放した。「4コーナー回った時に、直線で追い出した時に手応えもあったので。後ろがえらい離れているなというのは、
オーロラビ
ジョンを見て思った」「全く馬は止まっていなかった」。押し切れるという手応えもあったが、最後の最後で
スイープトウショウが鬼脚で差し切った。「内、外もだいぶ離れていたんですけど…。(04年に差して勝利した)
アドマイヤグルーヴよりも速く感じましたね」。
あれから20年。川島さんは2024年春に騎手を引退し、現在は栗東・庄野靖志厩舎の調教助手。今は普段の調教に加え、TBS系日曜劇場「ザ・
ロイヤルファミリー」で監修を務めるなど、幅広く活躍している。
オースミハルカは引退後、生まれ故郷の北海道浦河町・鮫川啓一牧場で繁殖生活に入り、出産した産駒は11頭。09年生まれの
オースミイチバン(牡、父アグネスタキオン)が兵庫チャンピオンシップ(12年)、ダイオライト記念(13年)の交流重賞を2勝。12年生まれの
オースミラナキラ(牡、父ハーツクライ)はJRA4勝を挙げた。現在は繁殖牝馬の役目を終え、功労馬として元気に過ごしている。