福島巧者が2度目の重賞Vを視界にとらえた。朝一番の美浦トレセンは乳白色のモヤに包まれ向正面はハロン棒が確認できない状況だった。それが、開場約1時間後、まるでこの日の“主役”
サニーサンデーのW登場のタイミングに合わせたかのようにそれも解消。鞍上が手綱をがっちり抑えつつ5Fから加速した。
外ラチ沿いを大きなフットワークで躍動し、馬なりで5F67.9-38.7-12.5秒。調教後に呼吸が平静時に戻るまで少し時間を要したが、動き自体に問題はなく、このひと追いでの変わり身は十分に見込める。「予定より時計は速くなったけど無理はしていないからね。これでいい」と谷原師も大きくうなずいた。
前走の新潟大賞典は10着に敗退。1頭だけ馬群から離れて外々を運ぶことで折り合いをつけようと試みたが、ハイペースにも巻き込まれて失速した。「馬込みに入れてあげた方が良かったね。いくら走る馬でも、あの流れで4角先頭くらいの立ち回りでは厳しいよ」とトレーナーは振り返る。一瞬の鋭い脚こそひと息でも、折り合いさえつけば追ってバテないしぶとさがセールスポイント。そんな理想の形に持ち込みやすいのが、コーナーが多い小回りの福島だ。
昨年は重賞初挑戦のラジオNIKKEI賞で13番人気の低評価ながらも時計差なしの2着に奮闘し、続く4か月半ぶりの福島記念でタイトルを獲得。みちのくの舞台への適性は申し分ない。ガラリ一変という願いを込めて臨む一戦。「逃げたい馬がいないようならハナでもかまわない。とにかく折り合いがカギ。このコースでは、ジョッキーが過去2回とも上手に乗ってくれているので」。指揮官は、函館からスポット参戦する吉田隼が持ち味を最大限に引き出してくれることを信じている。
提供:デイリースポーツ