蛯名を背に美浦坂路で好時計をマークしたアパパネ(右)=美浦トレセン
一瞬、モニター越しに見る報道陣がざわついた。美浦坂路でアパパネはダノンブライアン(7歳1600万下)を2馬身追走。残り1Fでの手応えは劣勢で、僚馬との差も1馬身。それでもここからがGI馬の意地だ。最後は何とか1馬身の先着を決め、4F50秒0-36秒8-12秒5で駆け抜けた。
見守った国枝師が説明する。「きょうは5F地点から14秒半で行っている。そういうつもりで追い切りをやったから。最初がゆっくりなら、しまいのお釣りもあっただろう。まあ相手も走る馬だったからね」。負荷をきっちりとかける意図通りの内容に、トレーナーは笑顔を見せた。不安なしが陣営のジャッジだ。
騎乗した蛯名は「もたついていたね。乗り込んではいるけど、久しぶりだから少し重い」と始動戦仕様を強調しながらも「春は“うーん”という感じだったけど、そうではないよ。格好はつけてくれるでしょ」とも口にした。微妙な物足りなさを追い切りで残していた春先よりも気配は上。乗り手の表情も決して暗くはない。エリザベス女王杯(11月13日・京都)を見据えた仕上げは確かだが、調整過程は順調そのもの。ここは地力でねじ伏せる。
提供:デイリースポーツ