アレッ?最強牝馬が並走遅れ?-。その光景を見た誰もが首をかしげるような最終リハだった。秋盾連覇のかかるブエナビスタは、栗東CWでラフォルジュルネ(4歳1600万下)と併せ馬。6F標では0秒1先行していたが、向正面を過ぎてからは1馬身後方を追走。残り4Fで馬体を併せ、直線は内に潜り込んだものの、ステッキを入れてからの反応が一息だった。僚馬に突き放されると、2馬身の遅れでゴール板を迎えた。手応えで見劣ったうえに、6F84秒6-39秒4-12秒4と、数字も内容も平凡に終わった。
過去にも遅れたことはある。ただ、それはブエナが馬なりだったケースだけ。元来、単走追いが主流とはいえ、一杯に追われた本追い切りで、併走遅れとなったのはデビュー以来、初めてのことだ。そんな異例な姿にも、松田博師は表情ひとつ変えない。「とくに指示はなかったけど、“直線で併せてやるように”と。相手が走り過ぎたのかも。遅れは心配していないし、時計も気にしたことがない。あれでいい」と胸を張って見せた。
昨年が圧巻の勝利だった。今年も宝塚記念以来という全く同じローテで挑む。「昨年と比べて? 変わった感じはない。ただ、太って帰って来たというだけ」。“太め”という言葉を口にしながらも、指揮官は気に留めていない。「太いのは太いけど、馬が賢いから体は(自分で)つくってくれる。いつもプラス体重と思っていても、レースのときはいつも通り。今までそうやってきたから心配していない。馬に任せるよ」。愛馬を信じ、自然体を貫く。これまでも、ドバイ遠征帰りでGI勝ちするなど、女王は逆境をはねのけてきた。追い切り内容にささやかれた不安説をレースで吹き飛ばすか。
提供:デイリースポーツ