苦難を乗り越え、活気が戻ってきた。東日本大震災の影響で中止されていた福島競馬が7日に再開した。10年11月21日以来、1年5か月ぶりとなる競馬開催。時折雪のちらつく寒さが、待ちわびたファンの熱気をより際立たせる。開門時の午前8時45分には1557人が列を作った。
関係者も真摯(しんし)な姿勢で応え、入場門前で行われた開門前のオープニングセレモニーには、福島県南相馬市出身の木幡らが参加。昼休みにはこの日、福島で騎乗した全ジョッキー36人がスタンド前の芝コースで黙とうをささげた。
騎手代表としてスピーチした木幡は「多くの関係者の協力のもと、開催することができた。これだけの観客が入ってくれてうれしいよね。1Rでパドックにまたがった時、応援してくれたおじさんもいたな。ありがたい」と感慨深げに語る。
JRAは施設修繕、放射線量低減を目的とした除染作業や芝の張り替え、ダートの砂交換に約42億円を投じた。入場人員は1万3198人(一昨年比137・5%)、売り上げは33億7139万1400円(同116・0%)と大盛況。安全性がファンへと届いた結果に違いない。最高の形で再スタートを切った福島競馬は29日まで「福島復興祈念競馬」として開催され、売り上げの一部が被災地に拠出される。
提供:デイリースポーツ