CWで速いタイムを計時したトーセンラー(撮影:井内利彰)
先週お伝えしたのは、雨が降らず、ウッドチップが乾燥して、時計が出ていない状況。あれから1週間だが、栗東は相変わらず雨がほとんど降っておらず、乾燥がより進んでいる。水が撒かれるなどの対策も講じられているようだが、追い切り時計を見てみると、あまり効果がないようだ。
なお、今週から函館競馬がスタートするということで、栗東在厩馬も多くが現地へ移動。その関係で、水曜日の追い切り頭数はこれまでとあまり変わりないが、木曜日の追い切り頭数は極端に減っている。
【坂路/4F51.9秒】
12日。一番時計は4F51.5秒のコスモコルデス(栗東・五十嵐忠男厩舎)。この馬を含めて、51秒台はたった3頭しかいない。52秒台も20頭に満たないという状況なので、一見すると、先週よりも随分と時計が掛かったと思える。ただ、冒頭に触れたように、追い切り頭数自体が少なくなっていること。また、G1や重賞に出走する馬が放牧に出たことで、下級条件の馬の追い切りが多いということも多分に影響している。
そんな中で、動きが目立ったのは、サドンストーム(栗東・西浦勝一厩舎)。ユニコーンSに出走予定のケイアイレオーネとの併せ馬だったが、走るフォームから全く違っており、重心が低く、しっかりと地面を蹴るフットワークで、どんどんと加速。相手を置き去りにして、最後は大差の先着。ラスト1Fは13.1秒と失速してしまったが、4F52.3秒と全体時計は優秀。今週は降級の一戦になるが、圧倒的人気でも仕方ないところ。
先週の馬場差は「+0.2秒」で観測しているが、今週はこの馬場差だと、時計の遅い馬が多くなってしまう。だからといって、極端な数字を付けるわけにもいかず、先週より少し時計の掛かる『+0.4秒』が妥当と判断。12日、13日ともこの数字で観測した。
【CW/5F66.5秒】
先週も記したが、4コーナーのウッドチップの状態がかなり悪く、実は今週も12日に追い切られた馬が直線に向いたところで故障するという最悪のアクシデントが発生している。この状況が続く限り、Cコースで速い時計を出すというのは、かなり危険なのかも知れない。
比較的、馬場が締まった時間、朝一番に追い切られたのが、宝塚記念への出走を予定しているトーセンラー(栗東・藤原英昭厩舎)。武豊騎手が跨り、先行するローマンレジェンドを追走する形。引っ掛かっているわけではなかったが、道中でかなり差を詰めて、直線では、ほぼ捕まえるような位置。相手も動く馬だけに、そこから前に出るのに時間を要したが、逆手前のまま、最後は半馬身ほど出ているのだから、やはり動きは良い。時計も速く、仕上がりに関しては文句ないという感じ。
先週の馬場差が「-0.6秒」だったが、今週もその状況に大差変化なし。よって、12日、13日とも『-0.6秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
少し乾燥しているとはいえ、やれば、速い時計が出るのが、ポリトラック馬場。13日に追い切られた、大久保龍志厩舎のアサクサショパン、サイドアタックは、見た目に「ちょっと速いかな」というくらいでも、6F75.7秒(アサクサショパン)と時計が出ている。
いつものことながら、全体時計が速いにも関わらず、ラスト1Fで11秒前半を馬なりマークしているような馬は、絶好調だと判断してよいのではないだろうか。鞍上が軽量だったとはいえ、エーシンタヒチ(栗東・田所秀孝厩舎)がそれに該当する。
なお、DPの馬場差は全体的に時計が速いので、12日、13日とも、先週より少し速い『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)