最後までしっかりした動きを見せたマルセリーナ(撮影:井内利彰)
最近は雨の中、調教が行われる日も少なくなかった栗東だが、今週は晴天続き。むしろ、暑すぎる日が多いくらいで、調教開始の時刻には、温度計が25℃以上の日も珍しくない。
なお、雨が降らないことにより、ウッドチップが乾燥することを防ぐためか、ウッドチップ馬場では調教前に散水が行われている。
【坂路/4F51.9秒】
先週は一番時計が4F49秒台だったが、今週も同じ。10日の一番時計は49.8秒でアキノモーグル(栗東・中村均厩舎)とテイエムヒーロー(栗東・五十嵐忠男厩舎)が並んでいる。後者は未勝利馬だが、2歳時から、坂路では4F51秒台を出しており、時計の出るタイプ。とはいえ、これだけ速い時計が出たのは、馬場状態が良いからだろう。
また、ラスト2Fが25秒を切る馬も続出。ただ、先週も記したように、時計が出る馬というのは調子が良いから、スピードが出るので、時計が出ている馬は素直に評価すべき。その中でも、特に目立ったのは、中京2歳S(7月21日・中京芝1400m)の出走を予定しているグランシェリー(栗東・庄野靖志厩舎)。4F50.9秒というトータル時計はもちろんだが、14.0〜12.5〜12.2〜12.2秒という速いラップを3F続けて踏めるあたりが2歳離れしている。デビュー勝ちがダート戦だけに、芝への適性が大きな鍵になりそうだが、ポテンシャルが高いことには間違いない。
今週の馬場差も、先週同様、走りやすい状態。全体時計の出方が、標準時(馬場差が±0.0秒)とほとんど変わらないので、10日、11日とも先週と同じ『-0.1秒』で観測した。
【CW/5F66.5秒】
晴天のため、馬場が重くなっているということはないが、乗り手の話を聞くと、4コーナーから直線、そして1コーナーまでの外埒沿いが、非常に馬場状態が悪いとのこと。基本的に外を回るだけでも、時計を要するトラックコースだが、外を回ると、更に時計が遅くなる要因があるということを頭に入れておいてもよいだろう。
外目を通ったわけではないが、前走時と変わらず、好調をキープしている印象を受けたのが、マルセリーナ(栗東・松田博資厩舎)。桜花賞以来、2年ぶりの勝利を挙げた、前走マーメイドSだったが、この要因は好調な状態にある。前走後も栗東在厩のまま、調整が続けられているが、10日は予定されているクイーンS(7月28日・函館芝1800m)の2週前追い切り。単走だったが、前に同厩舎の併せ馬を見るような形で、道中は速いラップを刻んだ。時計は6F83.0〜5F67.4〜4F52.8〜3F39.2〜1F12.4秒で、最後までしっかりした動きを見せた。
先週の馬場差が「±0.0秒」。今週は雨の影響がない分、ある程度、時計が出る馬場に戻っている。よって、10日、11日とも『-0.6秒』の馬場差で観測している。
【DP/5F64.5秒】
10日の追い切り頭数は40頭ちょっと。坂路馬場の状態が良いことなのを受けて、Dコースはポリトラック、芝馬場ともに使用頻度が低くなっている。また、ポリトラック馬場は乾燥しているのか、少し時計が掛かるような状態になってきている。
そんな中でも、動きが目立ったのは、レッドムーヴ(栗東・藤岡健一厩舎)。併せた相手はオープン馬エーシンハーバーだったが、終始余裕の手応えで同入。終いの伸びも素晴らしかった。ただ、今回は中1週でのレースになるだけに、前走時の馬体重が維持できているかどうかが重要になりそう。
なお、今週のDPは乾燥して、先週までと比べて時計が掛かる状態。といっても、基準時計と比べて遅いというわけではないので、『-0.5秒』で、10日、11日とも観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)