放牧後馬体の雰囲気が変わってきたワグネリアン(撮影:井内利彰)
今週は3回中京開催で唯一、中距離の新馬戦が組まれている。昨年この番組を勝ったトリコロールブルーはスプリングSや青葉賞に出走している。今年も来春のクラシック路線が見えてきそうな素質馬が集まっている。
ここで取り上げなかったところでは、2015年セレクトセール当歳にて1億2000万円で落札されたディープインパクト産駒のヘンリーバローズ(栗東・角居勝彦厩舎)や、同じく2015年セレクトセール当歳にて4800万円で落札されたハーツクライ産駒のトウシンゴールド(栗東・佐々木晶三厩舎)などが出走を予定している。
【7月15日(土) 中京芝1600m】
◆スワーヴポルトス(牡、父クロフネ、母ビジャリカ、栗東・庄野靖志厩舎)
母父ディープインパクトのクロフネ産駒だが、2015年セレクトセール当歳では2100万円と落ち着いた金額で落札されている。母系から活躍馬が出ていないことがその理由かも知れないが、この馬が活躍馬になる可能性は十分にありそう。
なにせ、7月6日の栗東坂路での追い切りは4F51.3秒をマーク。さすがにメイショウイチオシに遅れてしまったが、これだけの時計で動けたことを評価すべき。レースではM.デムーロ騎手が騎乗する予定だが、ゲート試験やゲート練習、そして7月6日の追い切りにも騎乗。新馬に対してこれだけコンタクトをとるケースは珍しく、そういった意味でも注目したい1頭だろう。
【7月16日(日) 中京芝2000m】
◆ワグネリアン(牡、父ディープインパクト、母ミスアンコール、栗東・友道康夫厩舎)
今年もこの番組に管理馬を出走させる友道康夫厩舎。今年は金子真人ホールディングスの所有馬だが、母父キングカメハメハ、母母ブロードアピール、そして父ディープインパクト。まさに「金子血統」だが、入厩当初は少し小ぶりであまりインパクトのあるようには見えなかった。
ゲート試験合格後に一旦放牧に出されて、6月8日にノーザンFしがらきから帰厩。すると馬体の雰囲気が変わってきた。「短期間だったけど、ひと回り大きくなりましたね」と友道康夫調教師。それでも馬体重は440キロくらいとのことなので、近年の牡馬としては大きくない。しかし性能は抜群で、7月5日の芝馬場での追い切りでは他厩舎のスタッフが「あの新馬、どこ使うんですか」と注目するくらい。今年も友道厩舎がこの番組を制する可能性は十分にある。鞍上は福永祐一騎手を予定。
◆スヴァルナ(牡、父ステイゴールド、母ブルーミングアレー、栗東・池江泰寿厩舎)
前記トリコロールブルーと同じステイゴールド産駒。母は現役時代に芝で4勝を挙げており、半姉には芝2200mで勝ち上がったフロレットアレー(父ディープインパクト)がいる。
ゲート試験合格後は放牧に出されて、6月21日にグリーンウッドから帰厩。CWコースでの追い切りが中心となっているが、その動きは少し地味。6月29日のCWでは、併せた相手がステイインシアトルだったので仕方ないと思ったが、7月5日のCWでは2歳新馬のトゥザフロンティアに遅れ。ただゲート試験の時は素軽いダッシュ力を見せていただけに、実戦に行って動きが変わってくる可能性はあるだろう。鞍上はM.デムーロ騎手を予定。
【7月16日(日) 中京芝1200m】
◆ヴァルディノート(牡、父ヨハネスブルグ、母シシリアンブリーズ、栗東・音無秀孝厩舎)
おじにクロフネ(父フレンチデピュティ)がいる血統だが、父が2016年京阪杯を勝ったネロが代表産駒のヨハネスブルグ。血統的に短距離仕様であることは間違いないが、気性的にはかなり素直なようで「すごく扱いやすい」と音無秀孝調教師。
追い切りは栗東坂路が中心だが、これまで併せ馬では遅れたことがない。6月28日は古馬ビックリシタナモーが相手だったが、これもきっちり1馬身先着。7月5日は坂路4F53.6秒で先週デビューしたアサクサゲンキに先着。時計は目立たないが、スピードがあるのは間違いない。スタートさえきっちり決めれば、まず勝ち負けといったところ。鞍上は松若風馬騎手を予定。
(取材・写真:井内利彰)