2017年を振り返って、あらためて思ったことは新馬戦における1番人気の好成績。当欄を担当させてもらっている関係もあり、新馬戦は通常の平場レースよりも早い段階で情報を収集するが、前評判が高いからといって、実戦できっちり結果を残すとは限らない。しかし、今年に限っては結果を残した印象が強い。
実際、データを調べてみると、2016年の新馬戦1番人気の成績を調べると、単勝率33.7%、連対率51.5%、複勝率60.7%。これに対して、2017年(12月10日終了時点)は単勝率40.6%、連対率58.8%、複勝率75.4%。この成績差に大きく関与しているのが、ディープインパクト産駒。
2016年が[11-8-0-14]で単勝率33.3%だったが、2017年(12月10日終了時点)は[24-6-8-10]で単勝率50.0%。今年のディープ産駒は人気を裏切らない。この背景には2歳新馬が6月開催からスタートするスケジュールに対して、牧場関係者、厩舎関係者の仕上げ意識が「前傾」になったことがある。
これは取材を行っていても、来年以降はよりその傾向が強まってくると感じているが、そうなると2歳戦の「量」を増やすのではなく、いかに「質」を高めるか。今後はこれを理念とした番組編成が求められることになりそう。
【12月23日(土) 阪神芝2000m】
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サトノグロワール(牡、父ディープインパクト、母シャムロッカー、栗東・池江泰寿厩舎)
母は現役時代にAJCダービー、VRC
オーストラリアンギニーといったG1を制した、豪3歳牝馬チャンピオン。本馬は2016年セレクトセール1歳にて、1億7000万円で落札されている。
ここまでの調整過程だが、11月10日のゲート試験に合格した後は、一旦放牧に出されて、11月25日にノーザンFしがらきから栗東へ再入厩。ここまで栗東坂路とCWコースでの追い切りを併用しているが、12月13日のCWでの追い切りがなかなかの動き。レースでも騎乗予定の川田将雅騎手が跨って、古馬1600万下を追走したが、なんとか追いついたかなといった動き。血統や値段を考えれば、もっと動いていいのかも知れないが、新馬としては水準以上のレベルにあるだろう。
【12月24日(日) 阪神芝1800m】
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サンティーニ(牡、父ダイワメジャー、母オリジナルスピン、栗東・羽月友彦厩舎)
半兄は同厩舎で活躍する
インカンテーション。そんなこともあって、きっとダートデビューだろうと思い、羽月友彦調教師に取材すると「最初は芝で」と回答。これは意外だったが、確かに現状の動きを見れば、芝でも十分通用する
スピードがありそう。
それを決定的なものにしたのは、12月14日のCWコースでの追い切り。併せた相手は
インカンテーション。しかもこれを追いかけたのだが、最後は楽に先着する内容。時計は6F79.9秒と素晴らしく速い。こちらには体重の軽い松若風馬騎手(レースでも騎乗予定)が跨っていたとはいえ、ここまで動けるとは思わなかった。父がシニスターミニスターからダイワメジャーに替わったことで、活躍する舞台が芝になるのか。その走りっぷりに注目してみたい。
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ダノンマジェスティ(牡、父ディープインパクト、母ドバイマジェスティ、栗東・音無秀孝厩舎)
全兄は今年の皐月賞馬
アルアイン。2016年セレクトセール1歳では、2億2000万円という超高額で落札されている。プロフィールは文句なしに1番人気となる素材。そんなこともあってか、11月9日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩して、ここまでじっくりと乗り込まれている。
先週までは坂路が中心だったが、12月13日にCWコースで併せ馬。先週デビューして3着だった
ミッキードーヴィルとの併せ馬だったが、それを追走して、最後は1馬身ほど先着。時計は6F82.1秒、1F11.7秒とかなり速い。坂路での時計は4F54秒を切るのがやっとという印象だっただけに、トラック馬場でここまで動けたのは大きな意味を持ちそう。あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか。鞍上は和田竜二騎手が予定されている。
【12月24日(日) 中山芝2000m】
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キタノコマンドール(牡、父ディープインパクト、母ベネンシアドール、栗東・池江泰寿厩舎)
全姉が重賞2勝の
デニムアンドルビー。2016年セレクトセール1歳では1億9000万円で落札され、著名人が命名するなど、話題にこと欠かない。馬主のDMMドリームクラブ株式会社は現2歳世代が2頭デビューしていて、いずれも2着3着の惜しい結果。この馬で初勝利となるかどうかも注目。
中間の追い切りは栗東坂路とCWコースを併用して順調そのもの。12月7日のCWでは6F84.5秒だった時計も12月13日のCWでは6F82.9秒まで詰めており、少しずつ動ける態勢は整ってきている。若干、話題先行といった印象も否めないが、最終追い切りでもっと見映えする動きができればといったところ。