ここまで10戦9勝と著しい充実ぶりが目立つホットキングプローン。日本でもおなじみのフェアリーキングプローンと同オーナーで、香港スプリント界の新星として地元の期待も高い。写真=森内智也【netkeiba.com】
明日12月9日(日)に、香港・シャティン競馬場を舞台に行われる香港国際競走。香港ヴァーズ、香港スプリント、香港マイル、香港カップという距離の異なる4つの競走に、今年は9頭の日本馬がエントリーしている。
そこで、香港でレーシングエディターとして活躍するイアン・シャムさん、日刊紙「Apple Daily News」でレーシングレポーターを務めるエイミー・チャンさん、馬主、そして競馬タレントとして香港競馬に太いパイプを持つゾーイ・シャムさんという香港競馬に精通している3人に、今年の香港国際競走の見解をうかがった。
まずは、日本からリスグラシューとクロコスミアがエントリーしている香港ヴァーズ。本来なら、断然人気に推されてもおかしくないパキスタンスター。春にはQE2Cを含むGI2勝をあげたが、今シーズンは激しい気性が災いして凡走続き。しかし、「鞍上が再びW.ビュイック騎手に戻ることで、ベストな走りを見せてくれるでしょう」(ゾーイさん)と、鞍上の手腕に期待して本命に推す声が多い。
そして、牙城ともいえる香港スプリント。日本からは春秋のスプリント王ファインニードルが参戦するが、エイミーさんは「新星・ホットキングプローンに期待。これまで10戦9勝。前走GIIジョッキークラブスプリントを制してGI制覇も目前」と前哨戦も制し、香港スプリント界に颯爽と現れたニュースターの戴冠を心待ちにしている。一方で、ゾーイさんは「人気になりそうなホットキングプローンですが、初めてのGIの舞台がプレッシャーになるとみて評価を落としました」と、全幅の信頼は置きづらい様子だ。
さらにヴィブロス、ペルシアンナイト、モズアスコットという強力布陣で挑む香港マイルに対しても、「ここは、年度代表馬のビューティージェネレーションを置いてほかにいない。今シーズンも3戦3勝。連覇は間違いないはず」(エイミーさん)と、臆するところなく、盤石の布陣で迎え撃つ構え。ただし、「直線で外ラチに飛んでいってしまった前走の内容には不安が残る」(イアンさん)との声も。
最後にサングレーザー、ステファノス、ディアドラの3騎で挑む香港カップについては、イアンさんが「その実績から本命をディアドラ、対抗にサングレーザーを選んだ。やはり日本馬は軽視できないし、ワンツーフィニッシュもありうる」と、ひいき目なしに太鼓判。昨年の優勝馬タイムワープなどの強豪馬もエントリーしているが、このレースでは日本馬が脅威に映るようだ。
昨年こそ優勝馬は出なかったが、近年はモーリス、エイシンヒカリ、サトノクラウンなどがそれぞれのカテゴリーで優勝。世界各国から強豪馬が集結するだけに力関係の比較は一筋縄ではいかない部分はあるが、今年は日本馬にチャンスはあるのか?