本番に強そうなタイプと言わしめるチェルヴィーノ(撮影:井内利彰)
先週は新種牡馬キズナの初年度産駒であるルーチェデラヴィタ(栗東・西村真幸厩舎)が阪神芝1600mをデビュー勝ち。JRAブリーズアップセールでの取引馬がキズナの一番星を挙げたということで、関係者にとってはうれしい勝利になったはず。
今週も新種牡馬の産駒が各地でデビューする予定。どんなレースを見せてくれるか楽しみなところだ。
【6月15日(土) 函館芝1000m】
◆レッドヴェイパー(牝、父キンシャサノキセキ、母レジェンドトレイル、栗東・安田隆行厩舎)
母系には東京スポーツ杯2歳Sを勝ったコディーノ(父キングカメハメハ)やフローラSを勝ったチェッキーノ(父キングカメハメハ)がいる血統だが、こちらはキンシャサノキセキ産駒ということもあり、短距離が合いそうなタイプ。
栗東では5月22日に坂路で4F52.8秒をマークして、その後、函館競馬場へ移動。現地でも順調に追い切りを重ねており、1週前追い切りでは函館芝で併せ馬を消化している。「芝ということを考えれば、目立った時計ではありませんが、追ってからもいい動きでしたね」と安田隆行調教師。鞍上は北村友一騎手が予定されている。
【6月16日(日) 阪神芝1600m】
◆チェルヴィーノ(牝、父リアルインパクト、母スネガエクスプレス、栗東・音無秀孝厩舎)
新種牡馬リアルインパクトの産駒。先週、同じ父のインザムービーが東京芝1400mでデビューして2着。レースは3番手からゴール前勝利目前のところで差されてしまったが、センスのよい走りが印象的だった。
こちらも追い切りの動きを見ているとセンスがありそう。2勝クラスのアロマドゥルセを相手に坂路での併せ馬だったが、3F目で一気に速くなったところも加速でき、ゴール前もきっちりと前へ出た形で先着。ラストは13.6秒と要した形だが、動きを見れば全く問題なさそう。
大型な牝馬で入厩前から音無秀孝調教師の評価も高かった馬。この感じだと、レースでの動きに更なる上昇幅がありそうな気がする。鞍上は松山弘平騎手が予定されている。
【6月16日(日) 函館芝1200m】
◆ビアンフェ(牡、父キズナ、母ルシュクル、栗東・中竹和也厩舎)
キズナ産駒だが「どちらかと言えば、(母)ルシュクルが出た感じで、体型的にも(姉)ブランボヌールに似ている」と中竹和也調教師。キズナの父がブランボヌールの父ディープインパクトだから、そういった意味で新馬→函館2歳Sと連勝した姉に似るのも当然かも知れない。
栗東でしっかり乗り込んでからの函館移動となったが、坂路での動きは目立っていた。レースでも騎乗予定の藤岡佑介騎手が跨った、5月29日の併せ馬では3歳未勝利が相手だったとはいえ、追走してきっちり先着。4F54.8秒、1F12.4秒と終いまでしっかりした動きだった。函館競馬場に到着してからも時計を出しており、順調そのもの。あとは実戦でどんな走りを見せてくれるか楽しみなところ。
【6月16日(日) 東京芝1600m】
◆フィロロッソ(牡、父ハービンジャー、母アルティメイトラブ、栗東・中竹和也厩舎)
祖母コイウタ(父フジキセキ)は2007年ヴィクトリアマイルを優勝。東京マイルはクイーンCも勝っているだけに、コース巧者であることは間違いない。ただ、父がハービンジャーで母父がシンボリクリスエスという血統背景に初戦から動けるかどうか気になるところだが「ハービンジャー特有の緩さがないし、完成度は高い」と中竹和也調教師。
坂路での追い切りでは目立って速い時計は出ていないし、6月6日の坂路では併せ馬に遅れてしまった。ただ、個人的には幅員の狭い坂路よりもトラック馬場の方が動けそうなイメージがあるので、そのあたりは実戦で変わってきそう。鞍上は石橋脩騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)