レースで騎乗予定の福永祐一騎手が跨り鋭い伸びを見せたサマービート(撮影:井内利彰)
この中京開催ではどうしてもマイル以上の距離に注目が集まることが多いが、先週の芝1400mを勝ったシャレード(栗東・藤原英昭厩舎)のように、たとえ1400m以下の距離でもこの時期にデビューして快勝、好走するということは、これからの2歳、3歳春の戦線で活躍する存在になりえる。
実際、昨年の中京芝1200mでデビュー勝ちを決めたファンタジスト(栗東・梅田智之厩舎)は後に京王杯2歳Sを勝ち、その時の2着ディアンドル(栗東・奥村豊厩舎)はその後に5連勝で葵Sを制している。
【7月13日(土) 中京芝1600m】
◆サマービート(牡、父ディープインパクト、母オータムメロディー、栗東・藤原英昭厩舎)
全姉に2012年エリザベス女王杯3着のピクシープリンセス、半兄にダートで6勝を挙げたジョヴァンニ(父アドマイヤムーン)がいる。藤原英昭厩舎にこの血統が入厩するのは初めてとなる。
5月15日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩し、軽く時計を出しながら調整を進めて、6月5日にゲート試験に合格している。その後も順調に追い切りを進めているが、個人的に素晴らしいと思った追い切りは6月27日のCW。フランドルとの併せ馬で、レースで騎乗予定の福永祐一騎手が跨っていたが、7Fから時計になる感じで2コーナーあたりから15秒台のラップを刻んでいたが、少しずつギアを上げていく感じで、最後は鋭い伸びで先着。6F81.9秒はもちろんだが、ラスト1F11.7秒の伸びは文句なし。あとはレースでどんな走りを見せてくるか楽しみに待つだけ。
◆ギルデッドミラー(牝、父オルフェーヴル、母タイタンクイーン、栗東・松永幹夫厩舎)
半兄に2018年鳴尾記念を勝ったストロングタイタン(父Regal Ransom)、同じく半兄に芝1200mで4連勝中のミラアイトーン(父Lonhro)がいる。兄たちはいずれも2歳時の小倉開催でデビューしているが、妹はそれよりも早くデビューすることになりそう。
ゲート試験に合格した後、一旦放牧へ出されていたが、6月21日にノーザンFしがらきから栗東へ帰厩。その週末には坂路で15-15の時計を出し、26日には新馬勝ちしたヤマニンエルモサとの坂路での併せ馬で馬なり先着。そして、7月3日にはレースで騎乗が予定されている川田将雅騎手が跨って、CWでの3頭併せ。時計的には遅かったが、折り合って最後の直線に向き、ゴール前での反応は上々。もう速い時計は必要ないくらいに動けているように思う。
【7月14日(日) 中京芝1400m】
◆ビオグラフィー(牝、父ロードカナロア、母チアズメッセージ、栗東・藤岡健一厩舎)
同厩舎で管理された半兄はダートで6勝を挙げたプレファシオ(父クロフネ)がいるが、父が違うこともあり「タイプは全く違う」と藤岡健一調教師。ちなみに2016年目黒記念を勝ったクリプトグラム(父キングカメハメハ)も半兄。
5月30日にノーザンFしがらきから栗東へ入厩して、ここまで順調そのもの。7月3日の坂路ではベルジュルネと併せて、先行していたとはいえ先着。4F53.5秒は標準時計も、1F11.9秒は新馬ではなかなか踏むことができないラップ。追うたびに良くなっているだけに、レース週の追い切りにも注目したい。鞍上は藤岡佑介騎手が予定されている。
【7月14日(日) 函館芝1800m】
◆サトノゴールド(牡、父ゴールドシップ、母マイジェン、栗東・須貝尚介厩舎)
2017年セレクトセール当歳にて、5000万円で落札されたゴールドシップ産駒。父と同じ須貝尚介厩舎で、父と同じように栗東の坂路で追い切りを積み重ねて函館入りという調教パターンに父のような活躍を期待したくなるのは当然のところ。
7月3日の函館芝での追い切りは併せた相手がエレクトロニカで手応えが劣勢にも見えたが、相手を思えば、むしろよく食い下がっていた。あまり速い脚を使えるタイプではなさそうだが、父のようなロングスパートが向いているのかも知れない。鞍上は武豊騎手が予定されている。
(取材・文:井内利彰)