3連勝で重賞初制覇を果たしたテイエムサウスダン(撮影:稲葉訓也)
この時期の中央のダート2勝馬はやっぱり強い。その3頭に人気が集中し、そのとおり3頭での決着となった。出走したどの馬も未完成というところがあり、園田の小回りコースに適応できずという馬はいなかったようだが、上位馬に能力差はほとんどなく、スムーズにレースができたかどうかの差だった。
抜群のスタートを切って逃げたのは北海道のスティールペガサスで、テイエムサウスダンは互角のスタートから無理せず2番手。スティールペガサスが前半800m=49秒8という緩みのないペースで引っ張ってくれたのは、これまで2番手、3番手の好位からレースを進めてきたテイエムサウスダンにとってはレースがやりやすかったことだろう。それでも向正面では口を割るような場面があり、デムーロ騎手はなんとか折り合いをつけた。初めての小回りコースも問題なくこなし、最後まで脚色は確か。理想的な展開で不利もなく能力を発揮しての勝利となった。
テイエムサウスダンは、デビューから2戦はやや差のある敗戦だったが、レース前から言われていたようにチークビーシズの効果なのだろう、この3連勝でまったく馬が変わったようだ。残念ながら来年デビューする産駒が最後の世代となるが、グランド牧場のサウスヴィグラス産駒は、ダートの2歳重賞ではひとつのブランドを築いたといってもいい。
2着のメイショウテンスイは、人気3頭の中で最内の6番枠が災いした。テイエムサウスダンとは互角のスタートだったが、相手に勢いがあると見ると、下げて外に持ち出そうとした。しかしそこにはファシネートゼットが来ていて、さらに下げたが1〜2コーナーで今度はゲンパチマイティー、さらにステラモナークと続いてきて、メイショウテンスイは結局外に出せないまま向正面に入った。
向正面半ば過ぎの勝負どころでも前4頭が雁行状態で壁になっていたため自分からは仕掛けていくことができず。3〜4コーナーで置かれ出したため、そこで一杯かにも見えたが、直線で視界が開けるとゴール前の一瞬は勝ち馬以上の伸びを見せた。しかし時すでに遅し。広いコースでスムーズな競馬ができればと思わせる2着だった。
ファシネートゼットは、テイエムサウスダンの外にぴたりとつける絶好位を追走。しかし3コーナーから勝ち馬が仕掛けていったところで対応できず差を広げられ、直線での伸びも1、2着馬には見劣った。
スティールペガサスは、抜群のスタートからあわやというところまで粘っての4着。8月の2歳オープンを快勝したあと、サンライズC6着、北海道2歳優駿10着で、重賞クラスでは壁があるかに思われたが、このメンバー相手に逃げての善戦は新たな一面を見せた。今回は距離短縮の1400mだったが、直後の有力勢に競りかけられることもなく、コーナー4つの小回りコースでマイペースに持ち込んでの好走だった。
一方、エーデルワイス賞2着だったアザワクは、スタートで出負けしてほとんど最後方からとなってまったくレースをさせてもらえなかった。3走前の2歳オープンでは大出遅れから直線一気に差し切ったが、さすがにここは相手が違う。かかり気味に先行してどこまで粘れるかというタイプだけに、小回りコースも合わなかったかもしれない。
地元期待のエキサイターは見せ場なく9着。ここまで園田5戦5勝ならもう少し人気になるかと思ったが、人気上位3頭からはかなり離れての4番人気(単勝16.3倍)。2走前、同じ園田1400mの兵庫若駒賞が、勝つには勝ったが……というレースだったので、そういう評価になったのだろう。スタートで押しても前には行けず、向正面からはムチを入れて追い通し、というレースぶりは兵庫若駒賞と同じ。兵庫若駒賞の800m通過が49秒9で、前半の流れは今回(49秒8)とほとんど同じ。ただ当然のことながら上りがまったく違って、勝ちタイムは今回のほうが2秒以上も速かった。そしてエキサイターの今回の走破タイム1分30秒3は、兵庫若駒賞の勝ちタイムとまったく同じ。自身の能力は発揮した。