今年の函館記念を制したハヤヤッコ(左)、札幌初参戦のアラタ(右)(C)netkeiba.com
8月21日に札幌競馬場で行われる札幌記念(3歳上・GII・芝2000m)。GI馬5頭が集結する豪華メンバーの競演に期待が寄せられる中、今回は過去の血統傾向から注目馬をピックアップする。
札幌記念は夏場に行われる定量GIIということもあり、今年に限らず実績馬が多数参戦してきた。昨年はソダシ、ラヴズオンリーユー、ペルシアンナイトの3頭で決着。2020年はノームコア、ペルシアンナイト、ラッキーライラックの3頭で決着。2019年はブラストワンピース、サングレーザー、フィエールマンの3頭で決着。なお、この中でペルシアンナイト、ノームコア、ブラストワンピースはいずれもハービンジャー産駒なのだが、今年はハービンジャーの出走がなく、かつハービンジャーと同父系にあたるベーカバドやゴールデンホーンの産駒も出走しないため、別の観点が必要となる。
ここでチェックしておきたい種牡馬はキングカメハメハ。着目したいのは2017年の札幌記念である。
勝利したのはサクラアンプルール、2着はナリタハリケーン、3着にヤマカツエースと、キングカメハメハ産駒3頭で決着した。ナリタハリケーンは13頭立てのブービー人気での激走。GI覇者が不在だったとはいえ、稀に見る波乱となった。
キングカメハメハに着目すると、昨年の覇者ソダシや2019年覇者ブラストワンピース、2018年3着馬モズカッチャンが母父キングカメハメハ。2015年にはヒットザターゲットが2着に好走している。また、ラヴズオンリーユーはキングマンボ(キングカメハメハ、エルコンドルパサーなどの父)と同牝系であり、要素分解すると一部血統の構成要素が同一である。
今年はソダシに加え、キングカメハメハの直仔であるアラタとハヤヤッコ、母父にキングカメハメハを持ちクロフネの近親にあたるアイスバブルなど出走予定。キングカメハメハの後継種牡馬の産駒という括りではパンサラッサ、レッドガラン、ケイデンスコール、アンティシペイトも含まれるのだが、ロードカナロアはストームキャット、ルーラーシップはトニービンの要素が入っており、純然たるキングカメハメハ産駒という点でアラタとハヤヤッコを本命・対抗として考えたい。
◎アラタは父キングカメハメハ、母サンシャイン、母の父ハーツクライという血統。母の姉妹には短距離重賞4勝のワンカラットや2016年の桜花賞馬ジュエラーなどがいる。
昨年4月から9月にかけて1勝クラスから連勝を重ねOP勝ちを飾った。前走の函館記念では6着に敗れたが、札幌競馬場には初参戦。函館と札幌はどちらも洋芝だが、コースの起伏などに差異があり血統傾向は大きく異なる。一度叩いてからの激走に期待したい。
◯ハヤヤッコは父キングカメハメハ、母マシュマロ、母の父クロフネという血統。2019年のレパードSと前走の函館記念を制した「二刀流」。上述したサクラアンプルール、ナリタハリケーンは元々ダートに出走しており、洋芝を使う点で長いダート路線のキャリアを持っている点は十分な強みとなる。
▲ソダシは父クロフネ、母ブチコ、母の父キングカメハメハという血統。昨年は3歳牝馬ということもあり52kgでの出走だったが、前走のヴィクトリアマイルでGI・3勝目を挙げたとおり実力は超一流。昨年のチャンピオンズカップ、今年のフェブラリーSとダート経験を積んだ点も強み。ハヤヤッコと同じシラユキヒメ牝系に属しており、同じ観点から相手に含めたい1頭である。