ホウオウビスケッツとともに皐月の舞台へ挑む奥村武調教師
オグリキャップと
ホーリックスが死闘を繰り広げた89年
ジャパンCを見て競馬に興味を持ったという奥村武調教師(46)=美浦。初めてクラシックを観戦したのは翌90年。アイネスフウジンの逃げ切りVに、東京競馬場のスタンドが揺れた。
伝説となった“中野コール”を肌で体感。「当時は19万人も入ってファンは熱狂していた。クラシックは競馬関係者みんなが目指すところ。まずはその枠に入れることが光栄です」と格別な思いを口にする。
調教師として、初のクラシック参戦は19年菊花賞だった。期待を込めて送り出した
ホウオウサーベルは、レース中に屈腱炎を発症。11着に敗れ、引退を余儀なくされた。「簡単じゃないことは分かっていたけど、馬の一生まで取られてしまうとは…」。悔しさを糧に今回、
ホウオウビスケッツとともに皐月の舞台へ挑む。
ス
プリングS2着で優先出走権を手にしたビスケッツは「6月生まれでまだまだこれからの馬」。現段階でこれだけやれていることに「驚きの方が大きい」と目を見張る。虚弱体質だった母ホウオウサブリナは未出走。繁殖入りも危ぶまれたが、
マンファス(キングカメハメハの母)の3×2という強烈クロスに魅力を感じたオーナーの意向で繁殖に残した。「執念を感じます。歴史があって今がある。ビスケッツは千二でも対応できそうな
スピードが長所。厩舎と騎手で工夫しながらクラシックにチャレンジしたい」。想像を超える、驚異の成長力に注目だ。