【地方からの風】生まれ変わったピカピカの船橋競馬場が温かい拍手に包まれた。先月、厩舎を開業した田中力(つとむ)師(41＝船橋)が29日の船橋1Rソーサレスで初勝利。直線、3頭の追い比べの真ん中からグイッと突き抜けた。新しくなった脱鞍所で愛馬を出迎えた師は「2、3着かなという感じで見ていたが、良く盛り返してくれた。抜け出してからは心の中で“あとちょっと、あとちょっと”と願っていた」とホッとした表情。元騎手だけあって「体が動かないように我慢したよ」と照れ笑いを浮かべた。

　開業前、北海道へ。社台ファーム、小西牧場、道営の角川厩舎を巡った。収穫だったのが子馬の見方だったという。「騎手のときは2歳馬からしか見たことがなかったので、いろいろ教わった。馬選びに生かしていきたい」と知見を広めた。一方で、慣れない事務作業には四苦八苦。「マウスを動かすことはできるけど、パソコンのキーボードが大変で…」と笑った。

　「重賞を勝ちたい。乗り役では勝てなかったので」と力強く宣言。リニューアル船橋と共に第一歩を踏み出した田中師の奮闘をお見逃しなく！！