定年や勇退で4日に厩舎を解散する調教師8人が2日、各競馬場で最後の開催に臨んだ。
時代を築いた名ホースマンが最後の最後までターフを沸かせた。小倉でラストデーを迎えた河内洋調教師(70)=栗東=は小倉メイン11Rを
アスクドゥポルテで制すと、直後の阪神11Rチューリップ賞では
ウォーターガーベラが鼻差の2着に好走。管理馬の力走を見届けて「最後は惜しかったけど、小倉で一つ勝てて良かった。でも、あと1年じゃ足りない。もう2〜3年はやりたいよ」と少し名残惜しそうに語った。
馬を愛し、馬に愛された半世紀だった。74年に騎手としてデビューし、ニホンピロウイナーやアグネスフライトなど数多くのG1馬に騎乗し、JRA通算2111勝。03年に騎手を引退すると05年に厩舎を開業。23年JBCレディスクラシックを制した
アイコンテーラーなど個性派を送り出し、ラストウイークに二つの勝ち星を積み上げてJRA通算385勝を挙げた。
「楽しい競馬人生だったね。勝負だから勝ち負けはあったけど、最後まで無事に馬が上がってきてくれた」。最後の勝利も鼻差の大接戦。写真判定の結果が出た瞬間は大歓声が上がったが、見守った表情は穏やかそのもの。「馬の無事が一番だから」。最後の最後まで馬優先主義を貫いた。
「正直、まだ引退はピンときてないね。明日になれば何か思うかな。でも、いい形で次の厩舎に引き継げるのは良かったよ」。多くのファンを魅了した“河内の夢”の続きを自らも楽しみにしながら、晴れやかな表情でターフを後にした。