レース後、田中一征厩務員(写真中央)と目を見合わせて笑う武豊(右)
武豊騎手(56)=栗東・フリー=が20日、中山5Rの3歳1勝クラスで
ヒデノブルースカイに騎乗。結果は8着に終わったが、このレースの裏には物語があった。
皐月賞で騎乗のない武豊が、阪神競馬場から中山競馬場での騎乗に変更になったのは、レース直前の木曜日のこと。「ある厩務員のために中山に来るのでは」とうわさとなっていた。その厩務員とは
ヒデノブルースカイを担当している田中一征(かずゆき)さん。田中さんは伊藤雄二厩舎時代に
エアグルーヴ、
ファインモーションを担当していた、レジェンドを陰で支えたとも言える存在。今年5月に定年退職を迎える。
田中厩務員との“ラストラン”-。
ヒデノブルースカイはゲートをうまく出られずに悔しい結果となったが、武豊は「俺が乗るのは最後だし、田中さんと写真を撮りたいな」とすがすがしい表情。レース前には直接お礼を伝えたといい、「『最後かな、お世話になりました』と伝えたら『応援してるね!騎手は定年がないからいいね〜』と言われました(笑)」と明かした。
田中厩務員と数々のG1を勝ったレジェンドは「長年お世話になりました。いい馬にたくさん乗せてもらいました。寂しいですけれどね…いい思い出がたくさんあります」とつぶやいた。レース後、向かい合ってニヤリと笑った2人。四半世紀もの間、共闘した絆が見えた瞬間だった。