7月20日に行われた函館2歳Sは、ホッカイドウ競馬からの移籍緒戦だった
エイシンディードが優勝した。芝適性を見込んでのことだろう、JRA認定を獲得してすぐに中央へ移籍させた関係者の慧眼にあっぱれである。何にせよ、こういった形でホッカイドウ競馬のレベルの高さに注目が集まることは喜ばしいことだ。
2歳戦の盛り上がりもさることながら、門別競馬場では、早くも3歳三冠競走最後のレースが行われる。三冠達成を目前にしながら、この王冠賞で涙をのんだ馬は少なくない。
さて
ソルジャーフィルドは、三冠競走独特のプレッシャーに、打ち克つことができるだろうか。
前2戦とも、
ソルジャーフィルドは決して快勝というわけではなかった。北斗盃では
ウィルオレオールの渋太い抵抗にあい、北海優駿ではラ
イバルたちの包囲網に苦しんだ。それでも勝ち切ったのは、やはり疑いようのない能力ゆえである。前2戦と同様、レース中に思いがけない困難が起こる可能性はもちろんあるわけだが、圧勝したJBC2歳優駿と同じ外回り1800mという舞台設定と、順調な調整過程、少なくともそれらから不安材料は見当たらない。
今回、特筆すべきは相手関係の変化だろう。北斗盃で接戦を演じた
ウィルオレオールとの再戦はもちろんのこと、牝馬
ゼロアワーの参戦で、予想は非常に面白くなった。南関東では未勝利に終わり、やや状態を落として帰ってきた
ゼロアワーだが、古巣の佐々木国明厩舎で懸命にリカバリーされた甲斐あって、前走の
フロイラインCでは2着に大差をつけて勝利。見事に復活を遂げた。デビュー2戦目の栄冠賞以降はすべて牝馬限定戦であり、一線級の牡馬相手にどこまで通用するか未知数だが、相手の機先を制して立ち回れる点は強みになりそうだ。この世代の牡馬・牝馬それぞれのトップがぶつかる構図は何とも興味深い。
三冠馬の称号がかかった
ソルジャーフィルドの鞍上、小野楓馬騎手の心境はわれわれが察するに余りある。小野楓馬騎手は年齢的にもまだ若手の部類。この激しい三冠競走を戦い抜いた暁には、人馬共に必ずやひと回り大きく成長していることだろう。
(文:競馬ブック・板垣祐介)
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