京都大賞典を制したディープモンスター(撮影・石湯恒介)
「京都大賞典・G2」(5日、京都)
直線で自慢の豪脚を披露し、ラ
イバルたちをしのいで突き抜けたのは5番人気の7歳馬
ディープモンスター。遅咲きのディープ産駒が、重賞初制覇で自らの真価と進化を示した。2着は2番人気の
サンライズアースで、3着には15番人気の
ヴェルミセルが入った。1番人気の
アドマイヤテラは、4着に終わった。
“あと一歩”に手が届いた瞬間だった。重賞の壁にはね返されること14回。何度も、何度も悔しい思いをかみしめてきた。渋った馬場を味方につけ、先頭でゴールを駆け抜けたのは7歳馬の
ディープモンスター。悲願の重賞初制覇を飾った。
発馬を決めると、内枠を生かしてスッと好位のラチ沿いへ。差し届かずのレースが続いていただけに、浜中が「あまり後ろからだと厳しいと思っていたので、スタートだけは決めたいと思っていた」と振り返るように狙い通りの位置取りだった。呼吸を合わせながらじっくり運び、余力十分に直線へ向く。即座に内へ進路を取ると、鞍上の熱のこもった右ステッキを力に、鬼気迫る脚さばきで抜け出してみせた。
満面の笑みで検量室前に引き揚げてきた鞍上は「
ディープモンスターとやっと重賞を勝つことができて良かった」と喜びをかみしめる。コンビを組むこと10回目。6戦ぶりに手綱を取った一戦だったが、誰よりもパートナーのことを理解していた。「この馬にとってはちょうどいい馬場だったし、枠を生かして一発狙っていました。ここにきてまた力をつけているし、この後も活躍してくれると思う」と今なお進化を続ける相棒をたたえた。
池江師は「背腰の状態が良くなっていたこともあるけど、何と言っても浜中くんの好騎乗」と惜しみない賛辞を贈る。これまで折り合いに課題を抱えてきたが、今回は愛馬の成長を信じ、タイトル奪取までの紙一重の差を埋めるために以前よりも口当たりの柔らかいハミを使用し、最後の伸びにつなげた。「ハミを替えた効果はありましたね。来年以降、まだ良くなると思うし、楽しみな勝ち方ができた」と指揮官。今後は未定だが、ついに重賞Vを果たした衰え知らずのディープインパクト産駒の怪物。まだまだターフで暴れてみせる。