◆第30回秋華賞・G1(10月19日、京都・芝2000メートル)
牝馬3冠最終戦の第30回秋華賞・G1(19日、京都)で、クラシックホース2頭が2冠を目指す。樫の女王
カムニャックは前哨戦のローズSを快勝。友道康夫調教師(62)=栗東=は現役単独最多のJRA・G1・24勝目に向け、順調に調整を進めている。
大一番を知り尽くす男には“流儀”がある。秋華賞に
カムニャックを送り込む友道調教師は、現役単独トップとなるJRA・G1・24勝目を狙う。過去5年でオークスからの直行組が4勝している3歳牝馬の3冠最終戦。だが、ローズSからの始動を迷わず選択した。「前哨戦でひと叩きした方がいいと思っている。始動戦は単純に牝馬ならローズS、牡馬なら神戸新聞杯と思い浮かびますよね」と説明する。
今までのG1・23勝中、前走から3か月以上の間隔が空いていたのは一度しかない。
ピンポイントで狙いを定める直行が競馬界全体で増えている今も、考えはぶれない。「調教と追い切りは違う。うちは中長距離馬も多いし、息のもちとかね。ゴルフはあまりやらないから分からないけど、打ちっ放しばっかりやっていても、あまりうまくならないって言うでしょ」と笑う。
経験値が多いからこそ、本番への最良のアプローチが見えてくる。02年秋の開業から23年。今まで前哨戦への出走を失敗と悔やんだ記憶はほぼない。「前哨戦を使うから、G1にもちゃんといい感じで持っていけていると思う。G1で理由の分からない負けや、これで勝つの? と驚いたこともない。勝った時はそれなりにあるからね」。勝ちに不思議の勝ちなし、負けに不思議の負けなし―。愛馬の状態をしっかりと把握した友道流の勝負の哲学だ。
カムニャックはローズSで不利を受けながらも直線で突き抜け、1馬身半差の快勝。中間も1週前には川田が騎乗し、栗東・CWコースでの3頭併せで負荷をかけるなど順調だ。「体は元に戻っているし、前走のダメージもない。予定通り。上積みはあると思います」。ひと叩きで思惑通りの上昇度を加え、深まる手応え。視線の先には青写真通りの2冠ロードが広がっている。(山本 武志)
原点は「マツクニ」流
○…友道調教師が1996年から助手として師事した松田国英元調教師(栗東)もJRA・G1・14勝中、前走から2か月以上空けての勝利はなかった。「マツクニさんもぶっつけはなかった。手元に置いて、あまり放牧にも出さなかったね」と振り返る。NHKマイルCから中2週の“マツクニローテ”でダービー2勝など、同じように実戦を使いつつ、大舞台での勝利を量産。他に角居勝彦調教師(引退)、高野調教師なども育てた師匠の教えが根付いているのかもしれない。