“ダービー一本”に狙いを定めた陣営の判断がズバリと的中し、青葉賞のウインバリアシオンは見違えるような末脚を繰り出した。上がり3Fはメンバー最速となる33.6秒の切れ味を発揮。新馬→野路菊Sを連勝したクラシック候補が、完全復活を遂げた。
テン乗りだった安藤勝も、勝ちっぷりを高く評価する。「相手はあの馬(2番人気のショウナンマイティ)だと思っていたが、並んでからグンと伸びた。結構、長くいい脚を使ってくれたね」。期待を大きく上回る内容に、ベテランは内心驚いたという。
ファーストコンタクトは青葉賞の1週前追い切り。第一印象は、あまりいいものではなかった。「ダクとか踏んだら“これで走るのか?”と思う馬。まだ調教は全然力が入っていない。それでいて、たまに地下馬道とかでカッとする面を出したりする。変わった馬だなと思った」。だが実戦に行くと走りがひょう変。うれしい誤算とはまさにこのことか。意外な展開で自身8回目となるダービー参戦が決まった。
今年の牡馬クラシック戦線。混戦とうたわれた皐月賞はオルフェーヴルの圧勝に終わったが、23年ぶりの東京決戦という希少な開催だったこともあり、まだ絶対的存在とは言えない。ベテランも「混戦というか、信用できる馬がいないよね。自分の馬も含めて、やってみないと分からない面はあるよ」とジャッジ。冷静に状況を眺め、7年ぶり2度目の戴冠を虎視たんたんと狙っている。ワンチャンスをモノにしたコンビが、一気に頂点を極めるか。
提供:デイリースポーツ