6日に降雨があり、時計の掛かる馬場が想定された今週の追い切りだったが、いざ開門すると好時計が連発。雨による影響は全くなく、坂路、CWのウッドチップ馬場は軒並み時計の出る印象だった。
栗東トレセンでは10月下旬から11月17日まで坂路馬場のウッドチップが入れ替えられている。その効果で時計の出やすい馬場、というよりも、ほぼ通常時と同じ時計が出る馬場になったのではないだろうか。
【坂路/4F51.9秒】
関係者が驚嘆の声を上げたのが
エーシンウェズン(栗東・野中賢二厩舎)の4F49.8秒。50秒を切ったということが、声の上がった要因だが、それと「開場して10分近く経った馬場状態でこの数字は凄いね」という理由もあった。冒頭にも記したように、ウッドチップの状態が非常に良いので、それが時計の大きく影響していると思われる。
7日、8日の一番時計はもちろん49.8秒だが、50秒台も続出。特に目立ったのはスタートしてから3F目に11秒台のラップを踏んでいる馬の多いこと。これが全体時計の速さに繋がっているように思える。
こんな馬場だけに動きが良く見えた馬はたくさんいたが、その中でもファンタジーSに出走を予定している
ストークアンドレイ(栗東・山内研二厩舎)は時計よりも、その動きが印象的だった。併せ馬だったが、その相手を全く苦にすることない、豪快なフットワークで4F53.5〜1F12.2秒。追えばまだまだ伸びそうな印象だっただけに、今回の距離延長もさほど心配なさそう。
なお先週は「+0.4秒」という馬場差だったが、馬場はチップの入れ替えもあり、かなり回復。ごく標準的な時計の出る馬場になったと判断できるので、7日、8日ともに『+0.0秒』で観測している。
【CW/5F66.5秒】
Cコースではチップの入れ替えは行われていないようだが、もともとウッドチップの状態は悪くないはず。エリザベス女王杯出走予定の
オールザットジャズ(栗東・角居勝彦厩舎)をはじめ、6F80秒切りも多数いた今週のCW。先週より馬場が軽くなったということはありえないが、引き続き時計が出る馬場ということだろう。
馬場状態は7日、8日ともに変わりないが、8日の追い切りで目立ったのが、アンドロメダSに出走予定の
アドマイヤラクティ(栗東・梅田智之厩舎)。単走だったが、6F標識を過ぎたあたりから速いペースを保って、ゴールまで勢いを継続。時計も6F79.1〜5F65.2〜4F51.5〜3F38.1〜1F12.1秒と速い。現在9戦連続馬券圏内という安定した成績を残しているが、それが納得できる勢いと迫力を感じた。
今週は馬場差のつけ方が難しいところではあるが、先週より大幅に速い時計が出るようになったという根拠はなく、総合的に判断して、7日、8日とも先週より少し時計が速い『-1.0秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
先週の当欄で馬名を挙げた
グリーンラヴ(栗東・中村均厩舎)はきっちり1着。1番人気ではあったが、やはり4F49秒を切って、それが馬なりという追い切り内容には注目すべきだろう。今週は古都Sに出走を予定している
シルクランスロット(栗東・増本豊厩舎)がこの調教条件に該当しているが、人気がなさそうなだけに注目だ。
今週の馬場差は先週とほぼ変わりなく、7日、8日ともに『-0.5秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)