今週のピックアップステーブルは松永幹夫厩舎。2012年の最後を締めくくる重賞、阪神Cにフラガラッハが出走予定。そして重賞クラスのメンバーが集まった万両賞にはノーブルコロネット、POGでも注目を集めるアウォーディーのデビュー戦など松永幹夫調教師にお話しを伺いました。(取材・写真：井内利彰)

12月24日(月)阪神11R　阪神Cに出走予定の【フラガラッハ】について

―前走マイルCSのレース内容から振り返っていただけますか?

　中団より前でレースした馬たちが上位入線したレース。最後方からのレースになったので、自分の力は出しているんだと思いますが、仕方ないですね。

―今回は阪神芝1400m、去年3着のレースになります。

　直線の短い内回りなので、一見、差し届きにくいコースに思えますが、逆に流れが速くなって、後方からでも届くんですよね。フラガラッハも昨年は自分の競馬に徹する形でしたが、前の2頭に追いつく勢いで駆け上がってきましたからね。

―前走は-14キロという馬体重でしたが、これはどのように判断したらよいのでしょうか?

　休み明けの富士Sが14キロの馬体重増で太目残りでした。それを意識して、絞った数字なので全く問題ありません。実際、中京記念を勝った時と同じ馬体重(488キロ)ですから。ただ前走は太目を解消するために、意図的にCWでの追い切りを増やしましたが、これがいつもと違うパターンで良くなかったのかも知れません。そのあたりを反省して、今回は坂路での追い切りに戻しています。最終追い切りも馬場が悪い中で1F12.9秒と動きました。この秋では一番体調が良いと思います。

12月24日(月)阪神9R　万両賞に出走予定の【ノーブルコロネット】について

―新馬戦は京都内回りを上手に立ち回っての勝利。センスのあるところを見せてくれたのではないでしょうか?

　デビュー前の調教では、目立って速い時計も出なかったですし、私が騎乗した感触でも、そこまで動いた印象はありませんでした。でも、レース運びが上手ですし、うまく折り合って走れていましたね。まして直線であんなに切れる脚(出走メンバー最速上がり34.8秒)を使えるイメージはなかったですね。

―前走後はすぐにこのレースを目標に?

　そうですね。阪神JFとなれば、間隔が詰まってしまいますし、適度なローテーションということでこのレースになりました。

―今度は直線が長くなって、坂もある阪神競馬場の外回りコースです。

　特に問題ないと思っています。この中間も私が跨って追い切りを行っていますが、動きが随分と良くなっているんですよ。競馬を使ったことで、良い変化が出てきていますし、調教時計も出るようになりました。メンバーは強いと思いますが、桜花賞と同じ舞台で、どんな競馬をしてくれるか、楽しみにしていますよ。

12月24日(月)阪神5R　2歳新馬に出走予定の【アウォーディー】について

―入厩当初から、ウイニングサルート(ダート中長距離で2勝)などの兄とはタイプが違うということを話されていましたね。

　ええ、コードゼットやヴェイロンも少し手先の重いタイプで、瞬発力が要求される芝では思ったような結果が残せませんでした。ウイニングサルートもダートに転じて勝ち上がったように、パワータイプが多かったんですが、アウォーディーは芝向きの軽いスピードがあります。

―最終追い切りはレースでも騎乗する武豊騎手が跨っての坂路での併せ馬でした。

　前半、少しペースが速かったこともあって、ラスト1Fは14.2秒掛かってしまいましたが、4F54.4秒は今週の重い馬場を考えれば、速い時計だと思います。ジョッキーも「すごく乗りやすい」と評価してくれましたし、楽しみにしています。

―母ヘヴンリーロマンスということで、注目しているファンも多い血統です。

　そうですよね。その期待に応えて、なんとかクラシック路線に乗せたいと思っていますし、また乗せないといけない馬でもあると思います。新馬戦にしては頭数も集まって、初戦から楽なレースにはなりそうにありませんが、その分、経験も積めると思いますし、いい結果を期待しています。(取材・写真：井内利彰)