今週の栗東は調教前、調教中、ともに降雨。特に25日午後の降水量は多く、26日のウッドチップ馬場は多分に影響を受けると思われた。
ところが、坂路馬場に関しては、時計が遅くなるどころか、水分を含んだことで、非常に走りやすい状態。ただ、Cコースに関しては、時間を追うごとに、かなり時計が掛かる状態になっており、同じウッドチップ馬場でも、時計の出方に差があった。
【坂路/4F51.9秒】
26日。一番時計は
エーシンダックマン(栗東・坂口正則厩舎)の4F50.8秒。50秒台はこの馬しかいないが、1F目を13秒台で入れば、51秒台が軽く出るような馬場。また、前半をゆったり入れば、後半は伸び放題。各馬の追い切りを見ていても、ウッドチップのグリップ力が強く、脚が上がりそうになっても、適度な反発力が前へ進ませてくれる。そんな感じだった。よって、今週は全体の時計が速かったとしても、ラスト1Fで13秒台を要しているのは、よほどバテていると思ってよい。
そんな馬場で、最も動きが目立ったのは、
サドンストーム(栗東・西浦勝一厩舎)。今回初騎乗となる、川田将雅騎手が跨っての追い切りだったが、前半をゆったり入り、後半を伸ばす形。前半遅かったとはいえ、後半を2F24.2〜1F11.9秒は強烈に速い。前走時より明らかに機敏さが増しており、ジョッキーとの相性も良さそう。2歳時から期待された馬だが、ようやく重賞制覇が手に届くところまできた。
先週の馬場差は「-0.1秒」で観測しているが、先週以上に時計が出ている印象がある今週。ただ、先週と同じく、速い時計を出した頭数が極端に多いわけではない。全体的な
バランスを見て、先週と同じ『-0.1秒』が妥当と判断し、観測した。
【CW/5F66.5秒】
雨が降ったこともあり、Cコースで追い切られる頭数が極端に少なかった今週。もちろん、それでも100頭以上は時計を出しているが、そのうち、6F85秒を切るような馬は半数もいなかったはず。全体的に速い時計を出すのではなく、ほとんど、直線だけ、終いだけ伸ばすという追い切りが目立った。
終いだけとはいえ、その鋭さが目についたのは、
ヤマカツハクリュウ(栗東・松田博資厩舎)。前走が長期休養明けで、動きも緩慢な最終追い切りだったが、それを比較すると雲泥の差。とにかく首を低くして、体全体を使おうとするフットワーク。追い切り時計はごく平凡だが、数字では伝えきれないほど、躍動した追い切りだった。
先週の馬場差が「-0.6秒」。今週は降雨の影響を受けて、後半の時間帯ほど、時計を要する状況になっていた。ただ、馬場差は終日でつけるので、全体的な時計の出方から、26日、27日とも『±0.0秒』で観測している。
【DP/5F64.5秒】
雨の影響があったため、26日の時点で、Dコースを追い切り場所に選ぶ馬が多数。ポリトラック馬場だけでなく、芝馬場を選択する陣営も多かったが、先週と同じく、水分を含んでいるのか、あまり切れのある動きを見せる馬はいなかった。
時計が出る馬場ではあったものの、
テイコフトウショウ(栗東・梅田智之厩舎)の6F75.4〜5F63.2〜4F51.7〜3F39.4〜1F13.7秒はなかなか。終いは止まってしまったが、それも馬なり。初出走時は13着の惨敗だが、近親には
ウオッカなどがいる血統だけに、変わり身を見せても不思議ではない。
なお、DPの馬場差は先週同様、全体的に時計が速い。よって26日、27日とも、先週と同じ『-1.0秒』で観測している。
※調教馬場横の数字は基準時計。この数字以下の時計であれば、標準より速い時計と判断してよい。(取材・写真:井内利彰)